1-1. ゼネコンの施工管理

今回はゼネコンで行う施工管理についてお話していきます。

現場監督と施工管理

ゼネコンは『現場監督』ってイメージがあると思います。
いわゆる『施工管理』というのが主な仕事なのですが
厳密に言うと施工管理だけではなくて施工管理に付随する業務がたくさんあるのです。

よく建設業で就職活動をしていると

企業者（発注者）・設計者（コンサルタント）・施工者（ゼネコン）

という表現をするので、多くの人はゼネコン＝現場＝施工管理と思っています。

ゼネコンの仕事は多岐に渡る

しかし皆さんが聞いたことのあるような名前のゼネコンでは工事を受注し、
構造物を造る『現場』以外にも、現場で必要な仮設計算などを行う『設計』や、
会社の得意分野や技術力を伸ばすための『技術研究所』があったり、
会社の経理を担当する『管理部署』があったり、
工事を入手するための『営業』や『技術提案専門部署』など
様々な部署・役割があります。
会社によっては事務として入社した人が『営業』を行う場合もありますが、
技術職として雇われた社員が『営業』役割を担うこともあるのです。
つまり、『現場』だけがゼネコンの仕事ではないのです。

ゼネコンに入ったらずーっと現場にいると思っている方も多いと思いますが
本当に多岐に渡る業務の中から自身の適正や、希望に応じて
様々な仕事をすることになります。

ゼネコンも営利企業。社会貢献だけでは生きていけない

しかしゼネコンも営利企業ですから利益がないと会社として成り立ちません。
ゼネコンの利益の根源は現場になります！
簡単に言いますとなるべく高い工事金額で受注して安く工事することで利益が生まれます。
そして多くの人は現場で働いています。

高い工事金額で受注すると聞くとひと昔の『談合』なんて言葉を想像する
人もいるかもしれませんが、今は絶対にそんなことをしてはいけません。
ですから技術力勝負でその利益を創出しています。

高い金額でというのは
例えば特許などを用いていいものを造る代わりにそれだけの費用を請求する場合
があります。
どのような業界でも当然ありますよね。
iPhoneが高いのはApple社でした作れないからと同じです。

安く工事をするというのは
なるべく人や材料を、適正に配置・使用するなどして無駄・無理を無くして
契約金額より安く仕事をするということです。
なるべく使用するクレーンの台数を減らしたり、少ない人数でモノを作ったり
というマネジメントの話もありますし
他にも、
５ｍの掘削をするのに、１０ｍの山留壁（土留と言われたりもする）を
使用するように計画していたが、設計で確認したところ８ｍの山留壁でも
もちそうだ。となると２ｍ分安く仕事ができたことになりますから
そういった形で少しずつ安く仕事をすることで利益が生まれるのです。

その過程で１０ｍの山留壁が８ｍで大丈夫なのか？などを『設計』や『技術研究所』
で確認したり検証したりすることで会社全体としての強みや収益を確保しているのです。

建設業は工場製品と違って、現地一品生産と言われる
世界で一つだけの構造物を造る必要があります。

施工管理の仕事

施工管理の仕事はその世界で一つだけの構造物を
作業する人たちや周辺を通行・住んでいる人たちがケガをしないよう『安全』に
所定の精度でしっかりした『品質』を確保したものを
定められた工期を満足する『工程』管理を行い
周りの『環境』と調和しながら工事を行い
成果として利益を確保するための『原価』管理をしながら
施工を進めるのです。

施工管理の仕事はこのように本当に多岐に渡ります。
だからこそ仕事を覚えるのに時間がかかると言われているのです。

これらの『安全』『品質』『工程』『環境』『原価』を英単語の頭文字を
用いてQCDSEと言われ、施工管理はQCDSEをバランスよく行う必要のある
仕事だと言われています。

QCDSEとは

これらQCDSEは近年ではSEQCDと言われることも多くなりました。
安全第一！とよく言われますが何よりも安全、人の命が重要であるという考えからですね。

このＳＥＱＣＤについては改めて詳しく説明します。
施工管理は品質管理・原価管理・工程管理・安全管理・環境管理から成り立っていると言われます。

優先順位はありながらもある程度バランスを保ちながら
全てを網羅するようにする必要があるので、
何か一つが特別得意では成り立たない仕事なのです。
だからこそ難しいとも言われているんですね。

現場で実際に現物を見ながら、
職人さんたちと共に、適確な判断をしながら、
ＳＥＱＣＤを満足し構造物を造るのがゼネコンでの施工管理ということなのです。