今回は,積算について説明します。
工事を行う上で重要なコストは積算が根本にありますので,少しでもコスト(お金)に興味がある方は要チェックです。
一般的な積算の定義
一般的には積算とは「数値を次々加えていくこと」とされており,
建設工事であれば,かかる費用を次々と洗い出し・算出して・足し合わせたものが工事費になります。
「かかる費用」というのが,建設業でいう積算ということです。
建設業は公共工事・民間工事ともに大きな額を取り扱います。
公共工事では税金を使い,民間工事では会社のお金と言えども,
多くが株式会社ですので株主に対して説明責任のあるお金を用います。
つまり「かかる費用」はテキトーであってはいけません。
正確に・根拠のあるお金である必要があります。
ですからルールに基づいて,工事にかかるお金を積算したものが工事費となります。
積算の手順
積算するためには先述した通り『ルール』が必要です。このルールとは以下のようなものが該当します。
(工事ごとに定められる)
・設計図,仕様書等の設計図書
(共通で用いられる)
・数量算出要領,積算基準書 等
があり,これらに基づいて積算すれば,基本的には同じ金額になります。
よって発注者ごとはこれらの基準を定める必要があり,
受注者はそれらを十分把握し積算することで発注者・受注者ともに同じ積算結果が得られるはずなのです。
工事の発注・受注
先述した積算は経費(これも基準で経費率等が示されています)などを乗じた上で「工事費の予定価格」に使用されます。
工事の発注形式で最も用いられる『一般競争入札』では
予定価格に対して最も低い見積を提出した会社が受注することになります。
工事を入手したいからと言って,
入札価格は低ければ低いほどいいのではなく,
まず会社利益が必要ですし,大前提として『低入札価格調査基準(低入調査)』以下になっては即アウト,工事入手はできません。
低入調査対象になったら,その金額で工事ができるか根拠提出が必要になります。
全ては「工事費の予定価格」が基準になりますから受注者もその金額を知っておく必要があるということです。
積算と見積の違い
よく混同されやすい積算と見積の違いです。
積算は先述した通り,発注者の定める基準に則り工事に必要な金額を算出したもので,
基本的には同じ金額になります。
それに対して見積は,様々な工事内容に対して実際にできる金額を算出し,会社の利益をのせたものです。
見積の算出には様々な作戦的なもの(会社ごとの「社外秘」知識となっていると思います)や会社で定める経費率等,競争相手の有無等により大きく異なる部分があるので積算と異なり,同じ金額にはなりません。
様々な見積の紹介
先述した通り,見積にはシチュエーションにより提出金額が変わってきますので概要を説明したいと思います。
◆一般競争入札の場合
低入価格≦見積金額≦予定価格となります。
・予定価格より高い,低入価格より安い場合には強制NG
・低入~予定価格の中で最も安い会社が落札
・低入調査価格に該当した場合には安い会社から順に調査し,問題なければ落札
となります。
低入札価格調査基準が0.9であれば900円以下になると調査対象ですからC社は調査対象ではなく最安値で入札になります!
ここでは低入札価格調査基準とされており当該値を下回った際には調査の末,施工能力があると判断されれば落札できますが,同じような意図で『最低制限価格制度』を導入している場合,その値を下回った時点で入札が『無効』とされます。
◆競争相手がいない(とわかっている)場合や参考見積などを提出する場合
見積金額≒予定価格を目指します。
予定価格より高ければ落札できませんからそれ以下でかつ,なるべく利益が得られるようにする。当然ですよね。
◆設計変更の場合
設計変更については改めて詳しくお伝えしますが,工事を受注した後に条件が異なるもしくは変更となり設計を変更する必要がある場合には改めて工事金額を定めて工事することになります。これを設計変更といいます。
設計変更の場合には見積を提出し,工事の落札率を用いることが多いです。
落札率は入札時の見積金額÷予定価格×100(%)で表されます。ここでも積算は重要ということがわかりますよね。
1000円でできると見積を出し,落札率が90%であれば,900円で受注する(設計変更)ということになります。
※談合の禁止
ここで非常に重要な話があります。一度は耳にしたことがあると思いますが『談合』は絶対にやってはいけないということです。
入札行為を行い,競争相手に勝ち,落札するのが正当な方法での工事の入手です。しかし談合では予め入札金額(見積)を示し合わせ調整する,入札に応じない等,正当な方法を阻害することをいいます。このような方法が旧来の建設業では行われていたことにより,イメージは落ち,厳しい制約も課せられてきました。もしかしたら今後,積算・見積業務に携わる中で談合,もしくはそれに近い行為を経験するかもしれませんが絶対に加担してはいけません。
まとめ
このように全てのコストの基本となる『積算』
この成り立ちを理解し,付き合っていけば会社の利益に貢献し,評価されること間違いありません!引き続き一緒に勉強していきましょう!
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