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6-5.歩掛と積算工程

本章では工程表を書く前に知っておくべき事項をお伝えします。

歩掛とは

建設業に従事していると歩掛という言葉を良く聞くと思います。

歩掛とは,ある作業においてどれだけの作業手間がかかるのかを数値で表したものです。

例えば

・型枠 〇m2/日 〇m2/班 〇m2/人

・鉄筋 〇ton/日 〇ton/班 〇ton/人

・掘削 〇m3/日 〇m3/台  などなどです。

〇m2/日とは1日当たりで〇m2の型枠組立の進捗があった

〇ton/班とは1班当たりで〇tonの鉄筋組立の進捗があった

〇m3/台とは1台の機械で〇m3の掘削を行った という意味です。

歩掛は単位が重要!

ここで注意すべきは『単位』です。
まずm2・m3・tonなどは積算する上で基準となる数値で表現しましょう。
例えば型枠〇枚/日なんて表現はありません。
〇杯/台とかも,数字にバラツキがあるので管理に適さない表現です。

次に注意すべきは分母となる単位です。
実際に管理する上で使える数値でないと意味がありません。
m2/日と記載していても1人で作業した量なのか10人で作業した量なのかわかりませんから
日で表現するのであれば注意書きが必要でしょう。
〇m2/日(5人)などのようにです。
ということで歩掛はなるべく〇m2/人のように1人あたりで管理するのがいいでしょう。
前回は1班あたり7人でやっていたが,
今回は1班に4人しかいなければ実際の進捗はほぼ1/2になるので工程に大きく影響してきます。
しかし1人当たりで管理すればそのズレは小さくなります。

歩掛の取り方

若いうちは『歩掛を取れよ』とよく言われると思います。

朝礼で今日は〇〇社が〇名で,
◆◆社が◆名で・・・とメモしている人が多いですが
それだけでは歩掛を取っているとは言えません。

また歩掛を取る際は『単日ではなく全体の中で所用人数と数量を取得すること』に留意してください。
毎日〇m2行った!今日は頑張ったぞ!なんて言っててもバラツキが発生するからです。

歩掛を取る際のイメージです

意識すべき歩掛算出

歩掛を取る上で最も重要な意識するべき点があります。

それは施工条件を残しておくということです。

例えば,型枠であれば,小さい構造物を造る時と大きな構造物を造る時では手間が全く異なります。
鉄筋では太い鉄筋と細い鉄筋では運ぶ時間は
ほとんど同じでも(しんどさは異なりますが)進んだ重量では大きな差が生まれます。

このように施工条件によっては大きな差が生まれますから歩掛を取る時には

※施工条件

 ・鉄筋工と相判作業

 ・突起物が複数あり,加工が多数発生

 ・クレーン使用不可(材料手運び)

 ・梅雨時期で作業中断が複数回発生

など,今後,そのデータを使ってよいのか?については理解する必要があります。

前回,とても仕事がしやすくても今回仕事がしにくければ歩掛は低めに見積もる必要があります。
にも関わらず同じ条件で計画していては実現可能性の低い,意味のない計画になってしまいます。

積算工程とは

次に積算工程について説明します。

積算工程とは,工事発注時などに,
この作業は『標準的に』どれくらいかかり
それらの作業を組み合わせたら全体でどの程度の期間が必要になるのかを示したものです。

発注時には根拠のある工程である必要があります。

積算工程とは,過去の施工実績を標準化し,
様々な施工条件に合致するように数値化された歩掛を使用して算出されます。

積算工程の算出方法

完全なる正解の工程算出方法ではありませんが参考になると思いますので是非紹介させいてただきます。

国土交通省の土木工事積算基準や発注者独自の積算基準,
もしくは施工協会の積算基準等には施工歩掛の表が載っています。

例えば,国交省積算基準H29版の覆工板・覆工板受桁設置の歩掛を見てみましょう。

本来,この積算基準は『積算』と名がつく通り,工事費を算出するのに使われる指標です。

ですからこの人数は費用の算出に用いられるのですが,
費用を出すにしても根拠が必要ですから先述した過去の施工実績を考慮した歩掛になっており,
これに基づき工程が算出されます。

この表で大事なのは単位当たり数量の値と,世話役など基準となる数値です。

覆工板設置での歩掛を参考に考えてみよう!

覆工板面積が700m2以下の場合を見てみましょう。
➊覆工板・覆工板受桁(100m2当り)
➋土木一般世話役が2.9人,とび工が4.6人・・・と記載されています。

一般的に1作業には世話役は1名配置が基本です。
その世話役が2.9人と記載されてるため
おそらく100m2あたり2.9人の世話役が必要と考えられます。
他にもクレーン等,あまり1日に複数台配置することがないものが
同じ数字になっているのでほぼ間違いないと考えてよいです。

つまり100m2÷2.9日(人)=34.48m2/日という算出になり,
1日当たり約35m2の進捗を標準的な歩掛と考えて間違いなさそうです。
ただし,この現場が広大で
お互いに影響を及ぼさない条件であれば2班施工も可能です。
あるいは昼夜施工等,条件を変えることで
より進捗を早めることができるので
積算工程には条件設定が付きまといますが,
標準的には1日あたり35m2となります。

仮に全部で350m2の覆工板があれば
350m2÷35m2/日=10日で作業を行う,というのが積算工程になります。

積算と(注)意書き

積算の説明時に詳しくお伝えしますが国交省積算『基準』と言った通り,
あくまでこの積算は基準であり,全ての条件で適用できるわけではありません。

これは歩掛の際に伝えた通りで,施工条件が異なれば進捗も変わってきます。

先ほどの覆工板で言いますと覆工板の設置面積が700m2を超える場合と
それ以下の場合で歩掛が異なりますがそれが理由なのです。

しかしさらに条件が異なる可能性もあります。
例えば,700m2以下と言われているが
もしかしたらたった1m2しかない覆工板を設置する必要があるかもしれません。

その覆工板と基準となる積算が同じとは到底思えません。

ですからそういった場合には,発注者と協議をして,
基準から外してもらうことも重要になります。(適正な考え方です)

歩掛と積算工程

積算工程というのは工事費を算出する上での
標準的な基準での歩掛を使用していることがわかりました。

ただ歩掛というのは施工条件により大きく異なってくることにも言及しました。

つまりあなたが所属する現場の条件いかんでは
積算基準を大きく下回ることも,逆に大きく上回ることもあり得るのです。

ゼネコンマンとして行うべき歩掛の向上と説明責任

施工条件というのは全てが与えられるものではありません。

工事は,仕事しやすい環境を創り出し
なるべく歩掛を向上させることが,
ゼネコンとしても,協力会社としても良いことです。

ですからあなた自身が過去の歩掛を踏まえて,
こういう条件であれば進捗が伸びる。
という条件を作りだすことが大事なのです。

逆に,あまりにも条件に合わないのに
標準的な積算・工程で計画がなされていた場合,
ゼネコン自身ももちろん協力会社も大変な思いをします。
ですから,条件が異なる場合にはしっかりと発注者に伝え,
適正な工期と工事費を請求し,仕事を進める必要があります。

その適正かどうか?
を知ることは自分や自分の周りを守る意味でも非常に重要になります。

それもこれもあなたの頑張り次第です。

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この記事を書いた人

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