工程の種類
現場で施工を行っていると聞かない日はないであろう『工程』という言葉ですが
ただ工程と言っても工程には色々な種類があります。
例えば
・週間工程
・月間工程
・3か月工程
・年間工程 などなどがあります。
週間工程より詳細に時間工程を定めたりすることもあります。
その中でも我々の全ての目標・基本となる『全体工程』があります。
全体工程にも種類がある
全体工程にもさらに種類があって
・工事ごとの全体工程
・事業ごとの全体工程があります。
工事はビルやマンションの建築工事のように
区画の中で唯一の元請けが工事をしている場合もあれば,
高速道路や鉄道の連続立体交差事業,
あるいは大規模な空港工事などのように工区を定めて,
工区ごとに工事発注する場合があります。
後者の場合には,
一つの現場だけが出来上がっても他が全くできていなければ意味がありませんので,
事業における全体工程に基づき各工区(工事)が施工を行います。
そういうことから全体工程といっても2種類の全体工程があるのです。
全体工程の作成方法
工程表の作り方は改めて後の章でお伝えしますがここでは全体工程表の作り方を簡単にお話します。
一般的な工程作成方法
一般的な作り方としては,各作業の必要日数を単純に積上げ,
それらを実現可能な順番に並べ替えたものが全体工程となります。
そこから施工方法を変える・施工機械を変える等し,
お金がかかってでも短くできる部分がないか?を検討し
全体工程を短くします。
あるいは普通は同時にできない作業を同時にできるように
仮設備を造る等の方法もあります。
技術提案で劇的な工程短縮
別の方法として,
先述した方法に近いのですが技術提案等で会社独自の方法等を用いて
劇的に全体工程を短くする方法等もあります。
工夫・知恵・技術を掛け合わせどんどん工程を短くします。
やってはいけない全体工程作成
上記2つは実現可能として作成するものですが,
やってはいけない工程作成方法があります。
やってはいけないのですがよくある(よく聞く)パターンです。
おおよそ「これくらいかかるだろう」の日付をロックし,
そこに至る中で「これくらいでできるだろう」の作業を積上げ,
もし足りなければ作業をラップさせ,今日に至る期間を埋める。
実現可能性の低い・もしくは皆無な工程を作成することです。
そんなことないだろうと思われそうですが,実に多くあります。
これは工事期間の末期に多くみられます。
余裕がないほどそういった工程を示してしまうものです。
工程が成り立たないと全てが成り立たない
前章でもお伝えした通り,工程は全ての根底にあります。
成り立っていない工程を実現させようと努力してもやみくもにお金がかかり,
安全リスクが高くなってしまい,
品質のトラブル可能性をあげてしまいます。
最適なスピードで施工を進めることが全てのバランスを取れた状態になります。
全体工程を考える上で大事なこと
最近では,特に国交省を中心に
『完全週休2日制』が取り入れられています。
週休2日制は,働き方改革の一環で,働きやすい職場環境を創出し,
建設業の入職者を増やすための取り組みの一環であります。
週休2日は最近では一般的になりましたが,
これまでの建設業は完全週休1日制でした。
作業日数は週6から週5に変わったのです。
単純に作業環境が改善されて良かった。とはならず,
全体工程が変わらずに週休1日が2日になれば
作業効率を上げなければ全てをこなすことはできません。
とはいっても限界があります。残業で対応していては何の意味もありません。
稼働率の考え方
全体工程を作成する上で大事になるのが稼働率という考え方です。
休日だけではなく,雨・風・雪による
作業の中止なども踏まえて地域や工種毎に異なります。
その値が週休2日ではこれまでと変えてあげることで無理のない工程で作業ができるわけです。
稼働率は,例えば実働5日でできる作業に対して
暦日(カレンダー上の日数)に直す時にある数字で割ってあげることで算出できます。
おおよそ0.6程度の数字が使われることが多いです。
つまり5÷0.6=8.333日ですから工程表に記す時は8.333日で記します。
ラップ施工が可能であれば9日目から異なる作業の施工をするのも良し,少し片づけに時間がかかりそうであれば9日間日数を確保するのもいいでしょう。
全体工程は常に変わる
全体工程は最初に書いた時から,常に変わるものです。
何らかのトラブルが発生した時や自然現象により現場に支障が出た時,
様々な要因により想定以上に仕事が進まないこともあると思います。
もしかしたら当初の契約とは異なる別工事を行う必要が出る可能性もあります。
そんな時に当初の工程表のままで仕事していては,
前に記した実現可能性の低い工程表になってしまいます。
ですから常に工程表はバージョンアップし,
若干無理しなければならない時は無理しても,
常に無理だらけの工程にならないようにする必要があります。
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